海外には「クリフハウス」と名付けられた家やホテルやレストランがある。それらは崖っ縁に建っているのが普通だが、オーストラリアメルボルン近郊の街に建築される「Cliff House」は崖っ縁ではなく崖にへばりつくようにして建つ予定。モジュラー工法を得意とするオーストラリアの建築会社 Modscape によって設計された。


「Cliff House」の依頼主は、オーストラリア在住の Emma さんと David さん。2人は Modscape に対し、彼らの所有するオーストラリアビクトリア州の南西海岸の土地に、休日を過ごすための別荘を建てて欲しいと依頼した。その依頼には、できれば普通とはちょっと違う別荘が良いというリクエストも含まれていた。Modscape はリクエストに応え、崖下にぶらさがる「Cliff House」を設計。“崖にへばりつく家”というイメージは、船にへばりついたフジツボから思いついたという。


「Cliff House」は崖にへばりついているため、崖の壁面に横穴を掘り、その中に住んでいる気分を楽しめる。壁に掘られた横穴の感じをより強調するため、「Cliff House」の部屋内では、設置される家具の数も最小限に留められる。利便性よりも、海の景色を優先させた結果だという。


自動車に乗って「Cliff House」に近づくと、駐車スペースが目に飛び込んでくる。この駐車スペースは、一見崖っ縁に設置されているように見えるが、実際には海上に張り出している。そして、この駐車スペースは「Cliff House」の屋上でもあるのだ。


駐車場のある屋上から4階へと階段で下りると、そこはリビングとダイニングキッチン。さらに階段を下り3階に入るとそこはベッドルームで、その下の2階はバスルーム。ベッドルームでは海を見ながら眠ることが、バスルームでは海を見ながらお風呂に入ることが可能になっている。最下階の1階は、バーベキュー ＆スパエリア。友だちを呼んで、BBQ や温浴を楽しめる。


「Cliff House」への滞在は怖そうに見えるが、家自体は鋼鉄製のピンで崖にがっちり固定されるので、崖下に落下することはないそうだ。むしろ怖いのは車庫入れではないだろうか？ハンドル操作を誤ると、崖からまっさかさまに転落してしまうかもしれない。落下の様子が「Cliff House」の広い窓から見えてしまうというのも、また恐怖だ。