古い飛行機を住居に改造して住む人や、バスを改造して住む人。乗り物を住宅にして生活する人は、少ないながらも存在しています。「家なのに、いつでもどこにでも行けそうな気がする」。“乗り物住宅”の人気の秘密は、そんなところにあるのかもしれません。

「プラットホーム」はその名の示す通り、駅のプラットホームのような住宅。隣には電車が停車しており、「“乗り物住宅”に住みたい」「電車に住みたい」という夢を実現してくれます。CONTAINER DESIGN の岸本貴信さんが設計しました。

撮影:冨田英次氏
撮影:冨田英次氏

CONTAINER DESIGN の Web サイトによれば、この場所には以前から電車の車両が置かれており、地域住民の憩いの場所として開放されていたのだそう。そして「プラットホーム」は、その電車の車両を撤去することなく、むしろ電車を活かして建てられました。

でも、なぜ電車を撤去しなかったのでしょうか。岸本さんは、CONTAINER DESIGN の Web サイトで次のように説明しています。

「当初、この電車は撤去し広く敷地を使い新築する予定であった。車両の中を拝見させていただくと、新聞記事のスクラップに感謝状などこの電車が地域に貢献し住民から親しまれていたことが伝わってきた。そこで、このまま撤去するよりも、この家族のために残すことを提案する事にした」

「プラットホーム」の北側には広く大きな窓が設置され、電車の車両がいつも見えるようになっています。室内に設置された暖炉は、昔の駅の待合室にいるような雰囲気を醸し出してくれます。壁に取り付けられた時計までも、待合室のそれに見えてくるのが不思議ですね。

撮影:冨田英次氏
撮影:冨田英次氏

撮影:冨田英次氏
撮影:冨田英次氏

電車の内部は、窓や入口を残しながらも、全面的にリフォーム。木の暖かさを感じる室内(車内?)になっています。

撮影:冨田英次氏
撮影:冨田英次氏

明治の初め、日本の各地に残っていたお城の多くが壊されました。当時はそれが近代化への道であると信じていたのだそう。でもそれから100年経ったいまでは、お城を壊したのは失敗だったと、お城を守っておけばよかったと考えている人が多いそうです。

街中に電車がある光景を守っている「プラットホーム」。何年か、または何十年か経ったら、この風景を守ったのは正しかったと、多くの人が考えるようになるのではないでしょうか?「プラットホーム」は、そんなことを考えさせてくれる、素敵な住宅です。

撮影:冨田英次氏
撮影:冨田英次氏

(画像はすべて、CONTAINER DESIGN の Web サイトから、許諾を得て引用させて頂きました)