その多くはすでに実現しているか、実現に近づきつつある。だが、服の一部に触れるだけで一瞬で脱ぎ着できる「ボタンの無い服」、あの“未来人の銀色の服”だけは実現していない。それどころか、多くの人の記憶から消えてしまいつつあるようだ。
米国マサチューセッツ工科大学(MIT)の「Personal Robotics Group」は、ファスナーを自動的に開け閉めできる超小型ロボット「Zipperbot(ジッパーボット)」を開発している。これは触れるだけで脱ぎ着できる“未来人の服”を、現実のものにする技術だ。
「ジッパーボット」のスイッチを入れると、ファスナーを閉じながら移動し、完全に閉じた状態で停止する。反対にファスナーが閉じた状態でスイッチを入れれば、ファスナーを開いてくれるのだ。「ジッパーボット」は未だプロトタイプ段階であるにも関わらず、サイズはすでに十分に小さく、ジャケットに取り付けてもそれほど違和感はないものになっている。
残念ながら MIT は、SF の世界を実現させるために「ジッパーボット」 を開発しているわけではない。手足の不自由な方や介護が必要な方に自動で脱ぎ着できる衣服を提供する目的で、この技術の開発を進めているそうだ。もっとも、あの銀色の服を着てみたいという人はそれほど多くなく、がっかりしている人はほとんどいないのかもしれない。あの服は便利かもしれないが、デザインは最低だからだ。
だが、この技術が実用化されれば、一般の人々にもメリットがあるだろう。例えば手袋をしたままコートの前を開きたいときなどに、「ジッパーボット」は便利だ。
「ジッパーボット」プロトタイプの動作については、次の動画を参照されたい。
自動でファスナーを開け閉めするロボット「Zipperbot(ジッパーボット)」