地球上で新たに生成されるデータの総量は、毎年増加を続けている。モノのインターネット(Internet of Things:IoT)の普及により、「駐車場の空き情報」や「街のゴミ箱に溜まったゴミの量」までもが、“データ”として扱われるようになったためだ。スマートフォンの普及により、人々が手軽に写真を撮影するようになったことも、データ増加を後押ししている。写真の多くは、“画像データ”としてクラウドに保存されているからだ。

だがその“データ”が、我々の生活に何か新しいものを生み出すことはあるだろうか。

「ANALOG MEMORY DESK(アナログ記録デスク)」は、クラウドやメモリー、ハードディスクではなく、紙に情報を記録する机。脚にペーパーロールとハンドルが取り付けられているのが特徴だ。ロール米国ミネソタ州のミネアポリス・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインの Kirsten Camara さんが製作した。


「ANALOG MEMORY DESK」の天板には紙が敷き詰められており、ペンや鉛筆でメモを取れるようになっている。一日の終わりに机のハンドルをまわして紙を送っておけば、翌日にはまっさらな紙に新たな気持ちでメモを取れるという仕組みだ。わざわざメモ帳を取りだす必要がないのでより気楽にメモが取れ、これまでであれば記録されなかったことまで“データ”として保存される可能性が高まるという。ペーパーロールとして巻かれた紙の全長は1,100ヤード(約1キロ)なので、毎日ハンドルを回し続けても約650日間分のデータを保存できる。


だがなぜ Camara さんは「ANALOG MEMORY DESK」を製作したのだろう?Camara さんは、自身の Web サイトで次のように述べている。

「私たちの身の回りでは、毎年、いや毎週の単位で、覚えておこうとさえ思わないささいな出来事が何百件も起きている。こういった小さな出来事の積み重ねが、私たちの人生に新たな物語を生み出すことはあるのだろうか」

Camara さんは、「ANALOG MEMORY DESK」の設計図を Web 上に公開している。この設計図を基に「ANALOG MEMORY DESK」を製作し、650日の記録を取ってみれば、Camara さんの問いかけに対する答えが見つかるかもしれない。


そしてその答は、「IoT などによって生成された“ビッグデータ”が何かを生み出しうるのか?」、という疑問への答えと、もしかしたら同じかもしれない。そうではないのかもしれないが、とりあえず、650日分の自分の記録を取り、それを後で読み返してみるのは、それなりに面白い体験となるだろう。