広告、雑誌表紙、CD ジャケットなどを製作するクリエイティブユニット「パンタグラフ」。その「パンタグラフ」がこれまで雑誌の表紙で発表してきた作品約130点が一冊の書籍『パラレルワールド御土産帳』となって6月11日に販売開始されます。

書籍で紹介されているのは、パラレルワールドで独自の進化を遂げた便利グッズたち。違う国の文化を知ることで自国の文化をより深く理解できるように、パラレルワールドのグッズを知ることで、私たちの住むこの世界のグッズについて別の角度から見れるようになれるかもしれません。


グッズをいくつか紹介しましょう。たとえば「ディスク製作機」。私たちの住む世界ではディスクは「焼く」ものですが、違う世界ではデータの詰まったボールを延ばして作成するもののようです。このパラレルワールドでは洗濯機がどのように進化したのか、とっても気になり、とっても心配にもなってしまう、そんなグッズです。

もしかして、パラレルワールドのお母さん方は  こんな洗濯機を今も使っているのかもしれません?
もしかして、パラレルワールドのお母さん方は
こんな洗濯機を今も使っているのかもしれません?

続いて紹介するのはオペラグラスを内蔵した「スマホグラス」。いつも持ち歩いているスマートフォンに内蔵しておけば、「しまった、オペラグラスを忘れた!」という哀しい思いをしなくてもすむという便利グッズです。一生のうちに何度オペラグラスを使うシチュエーションに出会うのかは、ちょっと疑問ですけど。

基盤に触れると感電するので、注意が必要だそうです
基盤に触れると感電するので、注意が必要だそうです

さてこの『パラレルワールド御土産帳』は、ビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」を思わせるところがあります。「サージェント・ペパーズ…」では、楽曲ももちろん優れていたのですが、全体を“架空のバンドのショウ”に仕立てるというコンセプトが導入されたことで、アルバムのクオリティはアートのレベルにまで高められました。

『パラレルワールド御土産帳』も、登場する作品自体ももちろん面白いのですが、歌人である穂村弘氏が作品を「パラレルワールドからのお土産」というコンセプトで紹介しており、これがこの本に一段と深みと面白みを与えているのです。

その1つの例として「真空管無線ルーター」をあげることができるでしょう。この作品は、アンテナとして中波用ループアンテナが取り付けられている時点でにやりとしてしまうもの。でもそこに穂村弘氏による「発信される電波の味わいが違う」という一言が加わることで、面白みがさらに増しているのです。

Wi-Fi 電波が、少し、暖かくなります(ウソです)
Wi-Fi 電波が、少し、暖かくなります(ウソです)

続いて「レコード盤ディスクセット」。見た目のインパクトの強いこの作品では、多くの人は見た瞬間にくすりと笑い、その後は忘れてしまうことでしょう。でも、穂村弘氏はこれを、「ボーカル、ギター、ベース、ドラムそれぞれの担当のレコードを同時に再生することによって音楽になる」と解説。「レコードの枚数を調整することで、バンドのメンバー脱退時の演奏を聴くこともできる」と付け加えています。読者はこの一言で、「バンドが新しいボーカリストを迎え入れた場合、レコードを入れ換えれば、新ボーカルで昔の曲が聴けるのか?」など、妄想の翼を無駄にたくましく広げられるのです。さすが歌人。

ある意味、4トラですね
ある意味、4トラですね

『パラレルワールド御土産帳』の価格は1,944円。6月11日の発売です。


(画像はすべて「パンタグラフ」様の承諾を得て、同社 Web サイトから転載させていただきました)