オーストリアのオーディオブランド『AKG(アーカーゲー)』から、8月に発売されたノイズキャンセリングヘッドホン「N60NC」。同社が新たに提案する「Nシリーズ」のミドルレンジアイテムとのことで注目していたのだが、今回実機を入手できたのでレビューを紹介したい。
◆軽量で持ち運びスマート、どんな耳にもフィットする
手に取ってまず驚くのがその軽さ。本体はわずか150g(ケーブル含まず)で、荷物に1個増えてもなんら気にならない。
またアームには独自の3D-Axis機構を採用しており、小さく折り畳んで収納可能。付属の専用ポーチに入れてスマートに持ち運べる。微妙な角度調整もできるので、高級ソファのようなふかふかのイヤーカップと合わせどんな耳の形状にも優しくフィットする。
ヘッドバンドにはレザーを使用。無駄のない洗練されたデザインはスーツにも違和感なくコーディネートできそうだ。
◆2個のマイクを使ったクラス最高レベルのノイズキャンセリング
同製品のノイズキャンセリング方式は、ハウジングの両面にマイクを搭載したハイブリッド方式。外側に配置するフィードフォワード方式と、鼓膜側に配置するフィードバック方式、さらに独自のキャンセル信号回路と合わせて、同ブランド史上最高の騒音低減率を実現したそう。
自宅で試してみたところ、スイッチを入れた途端に空調や扇風機などの生活音がスッと消え、テレビの声だけが微かに聞こえる。例えば車の窓を開けて高速道路を走っていて、閉めた時のような消音体験に近い。高精度ながら、他社製品で感じたことのある三半規管への影響もなかった。
◆音域はまんべんなく豊かな広がり
ドライバーには40mm径ドライバーを採用。中高域が厚い印象だが、ライブのように全ての音が聞きやすく、豊かな音の広がりが楽しめる。ちなみに音楽を聴いている時に後ろで掃除機をかけられるとたまったものではないが、ノイズキャンセリング時にはそこまで不快に感じなかった。
なおノイズキャンセリング機能をオフにした時も通常のヘッドホンとして使うことができ、音質に大きな変化がない点もポイントだ。
◆通勤してみた
より騒音が多い環境でこそ真価が発揮されるのではと思い、通勤時に使用してみた。電車内では空調の音が全く聞こえず、ホームでは電車の走行音が消える。だがアナウンスだけ遠くに聞こえるため、必要な情報は入ってくる(音楽に没頭し過ぎなければ)。満充電時で約30時間連続使用できるとのことで、海外旅行にも気軽に持って行けそうだ。
◆あると便利なアクセサリ
このほか、コードには1ボタンリモコンを搭載。4極プラグ対応のスマートフォンでハンズフリー通話もできる。
また、航空機内用の変換アダプタも付属。長時間のフライトが多い人や備え付けのヘッドホンの音質に満足できないという人には嬉しいアイテムだ。
公式通販サイトでの販売価格は2万9,880円(税別)。じっくり聞き込みたい時はオーバーイヤータイプに比べ物足りないかもしれないが、移動時や無音で集中して作業をしたい時には活躍しそうだ。個人的にはオーディオラインナップに是非加えたい。