ロンドンやニューヨークの地下鉄では、バックパックやカバンを身体の前に掛け、両手でしっかりと抱きかかえている人を見かける。これは、スリの被害にあわないための行動だ。


バックパックの後ろのポケットはファスナーで簡単に開く。そしてこのポケットに手を入れられても、わからないことも多い。このため、バックパックはスリのターゲットになりやすいのだ。



「Bobby」はスリの被害に遭う可能性を下げてくれるバックパック。犯人が背後から「Bobby」を見たときに、スリの実行を諦める工夫がなされている。


通常バックパックのポケットは、外側に取り付けられている。これはスリの実行犯から見たら、中身を盗みやすい構造と言えるだろう。


だが「Bobby」では、このポケットが背中と密着する面に取り付けられた。これにより、スリが手を出しにくい構造としている。


内側に取り付けられたポケットには、航空チケットやパスポートなどを保管する。ポケットの脇には、バックパックを背負ったままでもアクセスしやすいサブポケットが用意された。スマートフォンなど、頻繁に出し入れするものは、ここに収納する。

ショルダーストラップには、ICカードなど専用のカードポケットも用意された。バッグの中を探らなくても、スムーズに取り出し可能になっている。


その他、バックパック本体のファスナーも外からは見えないように隠し、背負った状態では簡単には開けられないようにしてある。


スリの実行犯は後ろから人を見て、成功する可能性が低いと判断したらターゲットを変更するという。「Bobby」に施されたのはわずかの工夫ではあるが、スリの実行犯を諦めさせるには十分な工夫とも言えるだろう。


その他、「Bobby」には、スマートフォン充電用のバッテリーも搭載された。海外の街を歩いているときには、スマートフォンの地図を使うケースが多くなりがち。そんなときに、このバッテリーがあれば心強いだろう。


開発元のXD Designは、Indiegogoでプリオーダーを受け付けている。本稿執筆時点では、56ドルでグレーまたはブルーの「Bobby」を入手可能だ。市販開始後の価格は80ドル程度になる予定。出荷は2016年11月に予定されている。