ウェザーニューズは、2016年の花粉シーズンにおける全国の“スギ・ヒノキ花粉”傾向を発表した。2016年の花粉飛散量は、今年の夏、暑い時期が短かった影響で平年より3割少なくなる見込みだとしている。花粉シーズンには部屋に設置した空気清浄機のフィルターが黄色や白に染まって驚かされることがあるが、2016年のシーズンは、少しましになるかもしれない。

■来春の花粉飛散量の傾向
2016年のスギ・ヒノキ花粉シーズンの花粉飛散量はほぼ全国的に平年(2008〜2015年平均)より少なくなる見込みで、東日本を中心に予想飛散量が平年の70%未満となる地域が目立つ。平年比が90%を超える山形県や岩手県でも、平年を上回る量の花粉が飛ぶことはない見込み。



2015年シーズンと比べると、2015年の花粉飛散量が少なかった西日本を中心に前年比が100%以上の地域があるが、量としては平年並〜少なめとなりそう。


◆2015年の夏は日照不足と8月後半の低温で、雄花の生育に適さない天候だった
前年の夏に十分な日照があり、夏らしい暑さであるほどスギ・ヒノキ花粉の発生源となる雄花生産量は多くなる傾向がある。

だが2015年の夏は、8月上旬に猛暑日が集中したものの、東日本では8月下旬の気温は平年を大幅に下回った。東京では8月の最高気温が25度に届かない日が6日あり、大冷夏となった1993年以来の記録となっている。西日本でも8月下旬の気温は平年を大幅に下回っており、このため今年の夏は平年より日照が少なく、東〜西日本を中心に雄花の生育に適した天候ではなかったといえる。


◆東北や東日本では花粉が少ない“裏年”、西日本は花粉が多い“表年”に
花粉の飛散は多い年と少ない年が交互にやってくることが多く、花粉が多く飛散する“表年”の翌年は、飛散量が減少する“裏年”となる傾向がある。北海道や西日本は2015年に“裏年”だったため2016年は“表年”となり、2015年より花粉の飛散量が増加する見込み。一方、東北や東日本は2015年が“表年”だったため、2016年は“裏年”となり、周期的にも前年より飛散量が少なくなる傾向がある。

■エリア別:花粉飛散予想
◆北海道(※シラカバ花粉)
花粉の飛散量は前年の夏の天候と、“表年”“裏年”による増減傾向で決まる。2015年は“裏年”にあたり飛散量が非常に少なくなったが、2016年は“表年”となり、前年より飛散量が増える傾向となりそう。


2015年の夏は前年より晴れる日が多かったものの、平年と比べると日照時間は少なくなった。2016年シーズンのシラカバ花粉の飛散量は平年の70%程度となる見込み。ただ、飛散数が非常に少なかった2015年シーズンと比べ50%程度増加するので油断はできない。


◆東北北部
2015年の夏は太平洋側のエリアほど日照があり、スギ雄花の生育が促される天候となった。ただ、2016年は“裏年”となり、前年より飛散数が少ない傾向となりそう。


夏の天候や隔年の増減傾向から、2016年シーズンの予想飛散量は、平年の80~90%程度、2015年シーズンの70~90%となる見込み。なお、東北北部で春に多く飛散するのはスギ花粉で、ヒノキ花粉はほとんど飛散しない。


◆東北南部
2015年の夏は太平洋側のエリアほど晴れて暑い日があり、スギ雄花の生育が促される天候となった。ただ、2016年は“裏年”となり、前年より飛散数が少ない傾向となりそう。


夏の天候や隔年の増減傾向から、2016年シーズンの予想飛散量は、平年および2015年シーズンの60~100%となる見込み。東北南部で春に多く飛散するのはスギ花粉で、ヒノキ花粉はほとんど飛散しない。


◆関東
2015年の夏は2013年や2014年の夏と比べると南部ほど雲が広がりやすく、8月後半以降は平年より気温の低い時期もあり、スギ・ヒノキ雄花の生育にはやや不向きな天候となった。また、2016年は“裏年”となり、前年より飛散数が少ない傾向となりそう。


夏の天候や隔年の増減傾向から、2016年シーズンの予想飛散量は、平年の40~70%、2015年シーズンの60~90%程度となる見込み。


◆北陸・甲信北部(長野県)
2015年の夏は、2014年と比べると新潟県や長野県を中心に晴れて暑い日もあり、スギ・ヒノキ雄花の生育が促される天候となった。だが2016年は“裏年”にあたり、前年より飛散数が少ない傾向となりそう。


夏の天候や隔年の増減傾向から、2016年シーズンの予想飛散量は、平年の60~90%となる見込み。2015年シーズンと比べると新潟県や長野県では70~80%程度、その他の地域では100〜110%となる予想。北陸で春に飛散するのは主にスギ花粉で、ヒノキ花粉は少ない傾向にある。


◆東海・甲信南部(山梨県)
2015年の夏は岐阜県や三重県を中心に晴れて暑い日もあり、2014年の夏よりもスギ・ヒノキ雄花の生育が促される天候となった。だが2016年は“裏年”にあたり、前年より飛散数が少ない傾向となりそう。一方、三重県や岐阜県では2015年の飛散が少なかったため、前年よりも多く飛散する傾向となる予想。


夏の天候や隔年の増減傾向から、2016年シーズンの予想飛散量は、平年の50~80%と少ない予想だが、2015年シーズンと比べると三重県では200%、岐阜県では150%で前年を上回る予想になっている。静岡県・愛知県・山梨県では2015年比が50〜70%と少ない予想。


◆近畿
2016年は“表年”となり、前年より飛散数が増加する傾向の年ではあるが、2015年の夏の日照は2014年より増えたものの十分ではなく、スギ・ヒノキ雄花の生育にはやや不向きな天候となった。


夏の天候や隔年の増減傾向から、2016年シーズンの予想飛散量は平年の60~90%となる予想。また、飛散量が少なかった2015年シーズンと比べると、奈良県や和歌山県では180~200%、その他の府県では120~130%となる見込み。


◆山陰
2016年は“表年”となり、前年より飛散数が増加する傾向の年ではあるが、2015年の夏の日照は2014年より増えたものの十分ではなく、スギ・ヒノキ雄花の生育にはやや不向きな天候となった。


夏の天候や隔年の増減傾向から、2016年シーズンの予想飛散量は平年の50~70%、2015年シーズンの120〜160%となる見込み。飛散量は平年より少ないが、前シーズンを上回る予想。


◆山陽
2016年は“表年”となり、前年より飛散数が増加する傾向の年ではあるが、2015年は平年より梅雨が長かったことに加え、夏は暑い晴天の日があまり続かず、スギ・ヒノキ雄花の生育には不向きな天候となった。


夏の天候や隔年の増減傾向から、2016年シーズンの予想飛散量は平年の80%程度、2015年シーズンの110〜130%となる見込み。


◆四国
2016年は“表年”となり、前年より飛散数が増加する傾向の年ではあるが、2015年は平年より梅雨が長かったことに加え、夏は暑い晴天の日があまり続かず、スギ・ヒノキ雄花の生育には不向きな天候となった。


夏の天候や隔年の増減傾向から、2016年シーズンの予想飛散量は平年の50〜90%、2015年シーズンの150〜210%となる見込み。


◆九州北部
九州北部では明瞭に“表年”“裏年”が現れない傾向があり、夏の天候がスギ・ヒノキ雄花の生育状況に大きく影響すると考えられる。2015年は平年より梅雨が長かったことに加え、夏は暑い晴天の日があまり続かず、スギ・ヒノキ雄花の生育には不向きな天候となった。


2016年シーズンの予想飛散量は平年の40~80%の飛散量となる見込み。ただ、2015年シーズンの飛散量が非常に少なかったため、2015年比が200%を超える予想の県が多くなっている。


◆九州南部
九州南部では明瞭に“表年”“裏年”が現れない傾向があり、夏の天候がスギ・ヒノキ雄花の生育状況に大きく影響すると考えられる。2015年は梅雨明け直後などに晴れて暑い日があったが、夏に十分な日照がなく、雄花の生育には不向きな状況となった。


2016年シーズンの予想飛散量は、鹿児島県で平年の40%程度、宮崎県で平年の70%程度となる見込み。ただ、2014年に比べて今夏は日照が増えた影響で、2015年の100〜120%程度となる予想。