ビジネスユースに特化したノートPC「ポータブック」XMC10がキングジムから発表された。キーボードにポメラを思わせるギミックが搭載されているのが特徴。

ビジネスユースに特化したノートPC「ポータブック」XMC10
ビジネスユースに特化したノートPC「ポータブック」XMC10

スマートフォンやタブレットが普及した現在、「オンラインショッピングをしたい」「Webサイトでニュースを読みたい」「友だちとFacebookやLINEで繋がっていたい」と考える人たちがデスクトップPCやノートPCの電源スイッチを入れることはほとんどなくなってしまった。PCは、Webデザイナーやプログラマー/ソフトウェアエンジニア、そして企業向けのオフィスアプリケーションを利用するビジネスパーソンなど、限られた人たちのものとなっている。


「ポータブック」XMC10はこの限られた市場の中で、“ビジネスパーソンの出張”というさらにニッチな分野を狙い撃ちするPC。汎用製品と考えられているPCを、「ワードを使ったビジネス文書作成」「エクセルを使った数値計算」「パワーポイントを使ったプレゼンテーション」、そして「Skypeなどを使ったオンライン会議」に特化した“ビジネス出張専用デバイス”として再創造している。

「ポータブック」XMC10は、“ビジネス出張専用デバイス”  プレゼンテーションや
「ポータブック」XMC10は、“ビジネス出張専用デバイス”
プレゼンテーションや

オンライン会議などに特化した
オンライン会議などに特化した

これを実現するため、「ポータブック」にはWindows 10を搭載。ビジネスでよく使われるOffice 365の“最新版”を手軽に利用可能とした。Office 365サービスには、毎月60分間のSkype通話プランも含まれている。

本体には、HDMI端子やVGA端子、USBポートやSDメモリーカードスロットなど、ビジネスで必要とされる端子類をフルサイズで搭載。「いまどきVGA?」と思うかもしれないが、出張先にHDMI対応のプロジェクターが用意されていないこともままあるので、これは案外心強いのかもしれない。

ビジネスで必要とされる端子類をフルサイズで搭載
ビジネスで必要とされる端子類をフルサイズで搭載

VGA端子も装備している
VGA端子も装備している

そしてなんといっても最大の特徴はそのキーボード。2つに畳める「スライドアーク キーボード」が採用された。これにより、折り畳み時にはA5サイズの手帳とほぼ同じコンパクトサイズを実現。それでいながら、使用時には開いてフルキーボードでの文字入力を可能にした。この発想は、折り畳みキーボードを搭載した「ポメラ」と同じといってよいだろう。

2つに畳める「スライドアーク キーボード」
2つに畳める「スライドアーク キーボード」

A5サイズ手帳と同じ感覚での持ち歩きが可能に
A5サイズ手帳と同じ感覚での持ち歩きが可能に

そう「ポータブック」は、既存のノートPCよりもポメラにより近い。ポメラは折り畳み式のキーボードに小さなモニターを追加した“入力専用デバイス”だった。「ポータブック」は、キーボードにWindows 10搭載コンピューターを追加した“ビジネス出張専用デバイス”。それは、スペックを見てもよくわかる。

参考画像:ポメラ「DM10」
参考画像:ポメラ「DM10」

「ポータブック」に搭載されたCPUはIntel Atom x7-Z8700で、クロックは1.6GHz。搭載されるメモリは2GB。ディスプレイサイズは8型TFTで解像度は1,280x768と、どれも非常に控えめなのものだ。メモリの増設や交換もできないので、ゲームをやりたい中学生や、DTMで音楽を制作したい高校生、そして子どもの運動会のビデオを編集したいお父さんにはまったく向かない。だが、ビジネスには十分。そんなスペックだ。

キングジムの開発本部長氏は、「ポータブック」について次のように語っている。

「『ポータブック』は、スペック至上主義的な商品ではない。また、ビジネスの未来を変えるような商品でもない。でも、明日の出張は変えられるかもしれない、そんな商品だ」

さて、「ポータブック」には残念な点が2つある。1つ目はSIMカード対応でなかったことだ。月額600円程度で使用できる格安SIMが利用できれば、出張にはもっと便利だっただろう。「そこはテザリングで対応しなさいよ」ということなのだとは思うが、SIMが内蔵されており、スイッチを入れるとすぐにインターネットにつながる便利さは、一度それが当然となってしまうとなかなか後戻りが難しい。

SIM対応で、どこでも繋がるデバイスであって欲しかった
SIM対応で、どこでも繋がるデバイスであって欲しかった

もう1つは、バッテリー駆動時間が約5時間とこれも控えめだった点。例えば新幹線で東京から広島まで出張する場合であれば、車内で「ポータブック」を使い続けてもなんとかバッテリーは持ちそうだ。だが、出張先が博多だとアウトだろう。「ポータブック」がシリーズ化され、XMC20、XMC100がリリースされることになれば、ここは是非改善して欲しい。

E7/W7系なら、全席にコンセントがあるのだが…
E7/W7系なら、全席にコンセントがあるのだが…

価格はオープン。発売日は2016年2月12日。ポメラを全機種所有しているものとしては、もちろん、発売日に購入するつもりだ。