
「PICTAR」はiPhone用カメラグリップ。シャッターの半押しや片手持ちでのズームなど、一般的なカメラに近い操作感覚をプラスする。

開発元のイスラエルMymiggo Groupによれば、2015年に撮影された写真の75%がスマートフォンによるものだったという。スマートフォンは“シェア”という概念を導入することで、これまでとは違う新しい写真の楽しみ方を提案した。

だがスマートフォンカメラは完璧ではない。本体が薄く、画面がつるつるしているスマートフォンは撮影時にホールドするのが難しい。このため、被写体を捉えきれなかったり、手ブレを起こしたりといったことが発生しがちだ。写真のクオリティだけでなく、スマートフォン自体を落としてしまうというリスクもある。iPhoneが2007年に登場してから今日まで、カメラの性能は驚くほど向上したが、これらの点についてはほとんど進化していないといってよいだろう。

2007年の登場時からほとんど変化していない
また、iPhoneカメラには様々な機能が備えられているが、多くの人はそれを活かしきれていない。例えば、ピンチ操作で対象にズームしたり、露出を適切に合わせたりといった操作は、ついつい面倒でパスしがち。これは、撮影時にスマートフォンを片手で支えながら、もう一方の手でタッチパネルを操作するのが困難なケースがあるためだ。
「PICTAR」は、iPhoneカメラに対して、物理的なシャッターボタンやホイールを追加する。これによって、片手での操作・撮影を可能にし、iPhoneカメラの性能を引き出すことを目指している。

物理的なボタンやホイールを追加する
その主な特徴は、次の5つだ。
1. 「半押し」を実現するシャッターボタン
「PICTAR」のシャッターボタンでは、「半押し」モードを提供。これにより、フォーカスや露出のロックが可能になる。画面の端にいる被写体にピントを合わせて撮影したい場合や、動く被写体を捉えたい場合に、この機能は便利だ。

2. 直感的なズームが可能なズームリング
ズームリングは回転式で、直感的なズーム操作を提供する。iPhone本体で被写体にズームする場合、片手で本体を支え、もう1本の手の指でタッチパネルをピンチアウトすることになる。だが、「PICTAR」のズームボタンを使えば、人差し指1本でズームイン/ズームアウトが可能だ。

3. 露出補正ホイール
iPhoneで露出を補正するには、タッチスクリーンを上下にスワイプする必要がある。だが「PICTAR」を装着すれば、「露出補正ホイール」を回すことで露出補正ができる。このホイールも、片手でコントロールが可能だ。


4. モード切り替えを可能にする「スマートホイール」
写真と動画の切り替えなど、撮影モードをコントロールできる「スマートホイール」も備えられている。

5. グリップ・ストラップ・三脚ネジ穴の提供
「PICTAR」にはストラップが付属。例えば旅行中にいつでも写真を撮れるようにiPhoneを手に持っていたいとき、ストラップを手首に巻けば落下を防ぐことができる。

ネックストラップも取り付けられるので、首から下げて持ち歩くことも可能だ。

底部には、三脚ネジ穴を装備。三脚とセルフタイマーを組み合わせて使い、集合写真を撮影可能だ。また、手ブレのない動画を撮影したいときにも、三脚が利用できれば便利だろう。

Mymiggo Groupは現在、「PICTAR」の市販化に向けてクラウドファンディングサイトkickstarterで出資者募集のキャンペーンを実施している。本稿執筆時点では、90ドルの出資で「PICTAR CLASSIC KIT」(本体、リストストラップ、ポーチのセット)を1セット入手可能だ。出荷は2016年11月に予定されている。
