9月1日は「防災の日」。普段は家で快適に過ごすことばかり考えているえんウチ編集部も、この時期はそれぞれ自宅や社内の備えを見直すようにしています。
そうはいっても、実際に被災経験がない人にとっては何を備えたらいいかいまいちピンとこないもの。そこで今回は、先日「シーン別避難セット」を発売したアイリスオーヤマに防災の心得などを伺ってきました。
時間の経過とともに薄れる意識
宮城県仙台市に本社を構える同社。2011年の東日本大震災では多くの社員が被災したといいます。震災当時は仙台空港の近くに住んでいたそう。
えんウチ編集部(以下略):東日本大震災から5年。震災直後と現在では世間の意識も変わっているのでしょうか?
多様化する避難方法
--今回発売された避難セットは「自宅」「避難所」「車中泊」「帰宅困難時」のシーン別で用意されているとか。國米さん:先程のアンケートを受け、「具体的にどう備えればいいのかを分かりやすくしよう」をコンセプトに作ったのが今回の商品。これまでは「避難所に避難すること」を前提にしていましたが、社内の意見や今年の熊本地震の状況から、想定されるケースは避難所以外もむしろ多いことが分かりました。そこでそれぞれの環境で発生する問題やニーズに合わせて商品を組み合わせています。
ケースは水汲みバケツやイスとしても使用可能
社員分を積み重ねやすいケース入り
國米さん:自宅以外での就寝を想定したセットでは、被災者の声を元に就寝関連グッズを充実させています。保管場所に合わせてケースも変え、それぞれ個人的なアイテムを入れられる余裕を残しました。
衣類などを入れる余裕もあり、移動用の雨具も付属
--自宅生活用の「トイレ処理セット」は初めてみましたが、そのほかは見慣れたものが多いですね。
コンパクトにまとまっています
國米さん:できる限り普段使いもできるアイテムを意識しました。過去、防災グッズというと手回し式のラジオライトが主流でしたが、ここまでスマートフォンが普及すると携帯の充電さえできればラジオは正直そこまで必要ない。そこで電池式の充電池を入れています。ライトはランタンにもなる2WAYタイプ。レジャーでも使えますよ。
--確かに普段も使えると思えば購入のハードルも下がりますよね。そういえば私はたまにキャンプをするのですが、キャンプ用品も役立ちますよね。
國米さん:私もするので分かります。実はキャンプ用品が全部揃っていれば生活できちゃうんですよね(笑)
--(やっぱりアウトドアなオーラが出てると思った…)あとはすべてに共通して「ウェットティッシュ」と「からだふき」が入っていますね。
國米さん:衛生面と気持ちの面でも、体をふいてさっぱりするかしないはかなり違いがあります。お風呂に入れない環境では必須アイテムですね。
「日常備蓄」のススメ
--最後に、國米さんが普段防災のために実践していることがあれば教えてください。國米さん:水や主食、缶詰といった普段の食糧を少し多めに買っておく「日常備蓄」を実践しています。宮城の時も、家にあった乾麺と水、カセットコンロで十分に生活できました。水も1ケース多めに買っておいてどんどん回転させれば、わざわざ長期保存水を買う必要はありません。
國米さん:あとはなかなか実践できていないのですが、ガソリンも常に満タンにしておきたいですね。災害発生時は給油量が制限されることもあるので…。
--なるほど。わざわざ味の分からない非常食を買わなくても、普段食べているものなら自分の好みが反映できますね。しまいこんで存在を忘れてしまうこともなくなりそうです。今日は貴重なお話を有難うございました!
ライフスタイルの多様化に伴い、現代では被災時に発生するニーズも様々。必要最低限のアイテムでまとめられたセットからは、筆者も災害時の状況を容易にイメージすることができました。もちろん毎日災害を意識して生活することはできませんが、防災への意識が高まるこの時期、皆さんも見直してみてはいかがでしょうか?※表記価格はすべて税別