キュートなデザインを次々生み出すDuncan Shottonさん

手のひらに乗る宇宙のピン、使えば使うほどストーリーがうまれる付箋、洗面台に現れるUFOのソープポンプ、玄関に並ぶ小さな飛び石……。見慣れた日用品を、新たな着眼点から「使って楽しい」ユニークな品に変えるのは、イギリス人デザイナーのDuncan Shotton氏です。手に取って、思わずクスッと笑ってしまうようなキュートなデザインを次々生み出すDuncanさん。今回は、そんな彼のデザインに対する3つのこだわりと、作品、発想のみなもとについて聞いてみました。眼鏡をかけずに雑貨屋さんに行くとアイディアがわくのは、何故なのでしょうか?
 
キュートなデザインを次々生み出すDuncan Shottonさん
プラネットピン

■Duncan氏ってどんな人?

Duncanさんは、英国出身のプロダクトデザイナー。学生時代には、ロンドンのデザイン雑貨ブランド「j-me」のインターンに1年間参加し、ビジネスプロセスを学びました。卒業後は、イギリスのデザインコンサルタント会社で医療機器デザインやブランディングを4年間学び、来日。現在は日本のデザイン会社の商品開発部と自分のスタジオを両立させています。日々の生活をちょっと豊かに、楽しく変えてくれるようなDuncanさんのデザイン。その秘密はどこにあるのでしょうか?

キュートなデザインを次々生み出すDuncan Shottonさん
左から、Duncan Shottonさんと奥さん

■3つのこだわり

Duncanさんの生み出すデザインのテーマは「普段使っている見慣れた物を、楽しい物に変える」こと。彼のデザインには3つのこだわりが隠されています。ひとつめは「使って活きるデザイン」であること。ふたつめは、「機能性とデザイン性の一体化」、そして最後に「どのモチーフと、どのアイテムを組み合わせるか」です。これらのこだわりは、Duncanさんの作品を実際に使用してみるとよく分かります。

キュートなデザインを次々生み出すDuncan Shottonさん
デザインの秘密は……?

◆使って活きる
「スティッキーページマーカー」は、使えば使うほど本や手帳のうえにストーリーがうまれる付箋です。デザインは、5つの都市シリーズ(ロンドン、東京、ニューヨーク、パリ、香港)と、6つの自然シリーズ(火星、空、北極、海、森、砂漠)と、ネッシーデザインの計12種。

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都市デザイン

キュートなデザインを次々生み出すDuncan Shottonさん
自然のデザイン

「スティッキーページマーカー」は、本や手帳に使っていくことで、自分好みの風景がうまれる付箋。見た目の可愛らしさは勿論、使うことで面白さが増します。見た目だけではなく、使って活きる・楽しめるデザインをDuncanさんは目指しているそうです。

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使えば使うほど楽しい付箋

◆機能性とデザイン性を一体化
「テープディスペンサー」は、カセットテープの見た目をしたテープカッター。このテープカッターは、Duncanさんが「j-me」でのインターン期間中に初めて商品化した作品です。

キュートなデザインを次々生み出すDuncan Shottonさん
テープディスペンサー

Duncanさんは、機能性を求めた際に生じるラインやかたちもデザインの中に組み込んでいます。例えばこのテープカッターは、セロハンテープの取り外しを行うために生じてしまうラインすらもデザインの中のひとつにすることで、シンプルかつ、どこから見ても美しい商品に仕上げています。

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テープも取り替えやすい

キュートなデザインを次々生み出すDuncan Shottonさん
ラインを、デザインの一部に

◆モチーフとアイテムの組み合わせ方
「UFOソープポンプ」は、UFOに動物がさらわれる様子を再現したソープポンプ。UFO部分をプッシュすることで、石鹸が飛び出します。これは、ソープポンプ会社から依頼されてデザインした商品です。

キュートなデザインを次々生み出すDuncan Shottonさん
UFOソープポンプ

Duncanさんはデザインを考える際、モチーフとアイテム、どちらか片方を決めてから考えるそうです。例えば「UFOソープポンプ」であれば、「ソープポンプ」のシルエットを活かせるモチーフが何かを探してみる。そうすることで、使いやすく、新鮮なデザインを生みだせるのだとか。

キュートなデザインを次々生み出すDuncan Shottonさん
UFOの中はこんな感じ

ピノキオのような姿をしたピン「REAL BOY」も、ピンの先の部分をピノキオの鼻にみたててデザインした作品です。日用品本来のかたちを生かした作品となっています。

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REAL BOY

■ユニークな発想はどこから?

ところで、Duncanさんの発想は一体どのようにして生まれたのでしょう? 眺めて「なるほど!」と呟いてしまうようなユニークなデザインを生み出すコツや、発想のみなもとについて聞いてみました。

キュートなデザインを次々生み出すDuncan Shottonさん
黙々と作業……

◆ぼやけて見えたデザインが作品に?
Duncanさんは、プライベートの時間も常にアイディアをメモする手帳を持ち歩き、デザインのことを考え続けているそうです。インスピレーションを受けに、雑貨屋やインテリアショップを覗きに行くことも。また、Duncanさんは眼鏡をかけずに雑貨屋に入り「これは素晴らしいデザインだ!」と手に取って間近で見たところ想像とはまったく異なる商品だったことがあるそうです。その時に勘違いしたデザインが、新しいデザインの元になったり他のデザインに繋がったりするのだとか。

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手帳は常に持ち歩いています

◆英国から見た“日本”
「トビイシ」は、玄関先に置くことで、ドアを開ける際の足置き場などになるクッション。これがあれば、素足で玄関に出たり、靴など踏んだりする必要もなくなります。滑り止めゴムがベースで、素材は柔らかい合成皮革。映画「ロストイントランスレーション」で、女優のスカーレットヨハンソンが平安神宮の飛び石を渡るシーンからアイディアを得たとのこと。また、「トビイシ」という名前をつければ、このアイテムの使い方が伝わると考えて、このネーミングにしたそうです。

キュートなデザインを次々生み出すDuncan Shottonさん
トビイシ

Duncanさんが日本に来て感動したのは、玄関にある”段差”。イギリスの家庭は、玄関に段差がないため土足で入るべきか靴を脱ぐべきか悩むシチュエーションがあるそうです。ひとめみて「ここでは靴を脱ぐこと」が分かる日本の玄関のデザインは、Duncanさんにとってとても新鮮だったのだとか。「トビイシ」は、そんな”室内では靴を脱ぐこと”という文化が根強い日本の生活スタイルにあわせて作られた商品です。

キュートなデザインを次々生み出すDuncan Shottonさん
何個も並べたくなっちゃう

◆コツコツ、手作業で
現在製作しているのは、宇宙を模したピンのセット。1本いっぽん、すべて手作業で製作しています。「どんなに大きな物も、小さくすれば可愛くなる」という考えの元、2年前からプロジェクトを進めています。外注したピンを1本ずつ取り外し、着色し、乾燥させる……。作業工程は、まるでガンプラ作りのよう! Duncanさんの手によって、日々沢山の小宇宙が生まれています。

キュートなデザインを次々生み出すDuncan Shottonさん
ぜ~んぶピン!

キュートなデザインを次々生み出すDuncan Shottonさん
一つひとつ、手作業で外しています

この作品は、現在「Kickstarter」で出資者募集キャンペーン中です。「Kickstarter」プロジェクト成功後、プレオーダーの受付を開始する予定だそうです。コンクリート製のピン「THE MOON」も同時進行中。

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THE MOON

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左から順に、試行錯誤して現在のデザインになりました

キュートなデザインを次々生み出すDuncan Shottonさん
手のひらに小さな宇宙を

生活をちょっと豊かに、楽しくしてくれるDuncanさんの作品。どれも魅力的で、自分の生活の一部にしたくなるようなデザインばかりです。紹介した作品は、「REAL BOY」と「プラネットピン」を除いて、「Duncan Shotton Design Studio」公式Webサイトで購入できます。

また、5月19日~5月21日までの3日間、目黒の「ファクトリー&ラボ 神乃珈琲」とコラボレーション企画として、Duncan Shotton Design Studioポップアップショップが開催されます。Duncanさんが手がけた、現在販売中の商品すべてを店頭にて販売。美味しいドリンクを飲みながら、ずらりと並ぶユニークな商品を眺めれば、Duncanさんのアイディアの元が見えてくるかも知れませんよ!