チェコ・プラハ在住のア―ティストJan Poopeさんは、新たな音楽体験ができる「Audiopill」を制作しました。世界初の、飲み込んで使用するオーディオデバイスです。

世界初、飲み込んで使用するオーディオデバイス「Audiopill」
世界初、飲み込んで使用するオーディオデバイス「Audiopill」

「Audiopill」を飲み込むと、身体の中で重低音が鳴り響くのを体感できるのだそう。その感覚は、「パワフルなオーディオシステムを備えたホールの真ん中に立っているような」ものだと、Poopeさんは説明しています。


飲み込むだけで、まるでクラブにいるような体験を得られるのが「Audiopill」。でも、クラブと「Audiopill」には1つの違いが。クラブでは、同じ音楽を多くの人たちと共有しています。でも「Audiopill」では、音が聞こえるのは飲み込んだ人だけ。周囲の人たちには、その激しいサウンドはまったく聞こえないのだそうです。

アパートの部屋で重低音を響かせると、隣近所の人から怒られてしまいがち。そんな環境にいる人にとっては、音漏れのない「Audiopill」は、うれしいデバイスなのかもしれません。

鳴り響く重低音のビートは「95BPM」「130BPM」「143BPM」の3種類から選択可能。95BPMはGrindermanの『No Pussy Blues』と、「130BPM」はDie Antwoordの『I Fink U freeky』と、そして「143BPM」はM.I.A.の『Bad Girls』と同じビートなのだとか。

「Audiopill」でのビートの切り替えは、マグネットを使用。マグネットを本体に近づけることで、ビートの切り替えと電源のオン/オフが可能になっています。飲み込んで使用するデバイスだけに、スイッチなどを本体外側に取り付けることはできず、このような形式を取ったそうです。

Poopeさんは「Audiopill」には様々な可能性があると述べています。例えば、医療器具である「Sirio」との組み合わせ。低周波数超音波を使った治療器具「Sirio」を「Audiopill」と組み合わせて使うと、「Audiopill」が生みだすサウンドは、さらに複雑なものになるとPoopeさんは述べています。

「Audiopill」を飲み
「Audiopill」を飲み

「Sirio」と組み合わせて使用  サウンドはより複雑なものに
「Sirio」と組み合わせて使用
サウンドはより複雑なものに

「Sirio」を身体に当てられた人は、高い周波数の音が頭の中で鳴っているように感じるのだとか。その音は、まるで歯医者のドリルのようなものなのだそうです。その高い音と「Audiopill」の重低音が組み合わさることで、新しいサウンドが生まれると、Poopeさんは主張しています。

「Audiopill」の重低音と 「Sirio」の高周波音を同時に楽しめる(?)
「Audiopill」の重低音と 「Sirio」の高周波音を同時に楽しめる(?)

以上が、「Audiopill」が切り開くかもしれない、新たな可能性。でも、このデバイスには、多くのマイナス面もあるようです。

「Audiopill」のスイッチを入れてビートを設定して飲み込んだあとは、スイッチをオフすることも、ビートを切り替えることもできません。10時間経ってバッテリーが切れるか、排出されるのを待つかしか、重低音を止める方法はないのです。

クラブであれば、音楽に飽きたとしても、ドアを開けて店の外に出ればビートから解放されます。でも、「Audiopill」を飲み込んでしまったら、バッテリーが切れるまで、ビートからは逃れられません。

また、医師は「Audiopill」に対し、「このようなものは、決して飲んではいけない」と警告しているのだとか。このため、 Poopeさんは使用は自己責任でと述べています。

Poopeさんは、「Audiopill」を日本円で1万5,000円程度で販売したいとしています。自分ではコントロールできない、医師も飲むなと警告する使い捨てデバイスにこのお値段。購入はおススメできませんが、一度見てみたい気はしますね。